時代を超えて今もなお愛され続けている、
アラビアの「パラティッシ」。
ビルゲル・カイピアイネンについて。
佐藤商会
シンプルなフォルムにパンジー、カシス、ぶどう、りんごなどのフルーツや花のモチーフが描かれているARABIA(アラビア)のパラティッシ。
フィンランドでは1969年から販売されていて、今なお人気の大ロングセラーアイテムです。
ARABIAは現在ではイッタラグループの傘下に入っていますが、元々はスウェーデンのロールストランド(Rörstrand)社がロシア向けの陶器を生産する拠点としてフィンランドに設立した工場が前身となっています。

首都ヘルシンキのアラビア地区に設けられたことが社名の由来となっています。
アラビアやロールストランドの関係や歴史はまた別の機会に触れるとして、この人気のパラテッシのデザインをしたビルゲル・カイピアイネン(Birger Kaipiainen)について調べてみました。

佐藤商会

ビルゲル・カイピアイネンは1915年、フィンランド・ポリに7人兄弟の末っ子として生まれました。
芸術教育を受けたロシアの移民家庭で一時期育ち、その影響で幼少期から色彩感覚や芸術性が磨かれました。
22歳でアラビア製陶所芸術部門に就職しますが、ポリオにより手が不自由だったためろくろが使えず、その分装飾デザインに情熱を注ぎました。

佐藤商会

1954年からスウェーデンのロールストランド社に所属し、1955年にはニューヨークで展示会も開催。
その後再びアラビア社に戻り、1969年、54歳の時に代表作「パラティッシ(Paratiisi)」を発表しました。
当時主流のミニマルな北欧モダンとは異なり、装飾豊かなデザインが話題となります。
1970年には「アピラ」「スンヌンタイ」「PRO ARTE」を発表し、いずれも人気シリーズに。

佐藤商会

ビルゲルは「デコレーターの王」と称され、クラシック音楽やバレエ、文学、上流階級のパーティーを愛したロマンチストでした。
晩年まで創作に取り組み、1988年、73歳で亡くなるまで多くの作品を生み出しました。
障害を持ちながらも世界的に評価された姿勢は、今なお多くの人々に勇気を与えています。

佐藤商会

弊社で取り扱っているパラティッシは、ブルー&イエローのカラーとブラックの2種類。パープルは現在お取り扱いしていません。
特にカラーは初期デザインで、ブラックは1972年に登場。2005年に一度廃盤になりましたが、ファンの声により復活した人気シリーズです。

佐藤商会
佐藤商会
パラティッシは日本でも非常に人気が高く、ブラックは「ブラパ」という愛称で親しまれています。
シンプルな白黒デザインは、洋食器はもちろん和食や中華、エスニック料理にも相性が良く、テーブルコーディネートの幅を広げてくれます。
また電子レンジ・オーブン・食洗機対応で、実用性にも優れています。